「今夜だけ特別に泊ってきてもいいですって」



あの心配性の兄が
妹の外泊を許可するなんて……


あたしとの
約束を破った
後ろめたさ。



きっとそれだ。



てか、
たけるの用事っていったい……



ほんとは、
あたしとデートするのが嫌で

ウソついたとか?



それとも、
ほかに女ができた!?



ていうか、もっとべつの用事だったりして…


たとえば、
またあのときみたいに


銀行やら
コンビニの
ATMに立ち寄って……



そんでもって
フルフェイスのバイクの男に……



「いいですか、泊まっても?」



あたしのいたずらな妄想を断ち切るように、

ひかりが
期待いっぱいの瞳で
見つめてくる。



「え~マジで~」



わざと
素っ気ない返事をするも、
すでに織り込み済みみたいで「やった~」とかいっちゃってる。



ははっ……


そのうれしそ~な顔を見てると、嫌とはいえないでしょ。