「あのベンチのところにいれば、きっとあたしを見つけ出してくれるって」



「……」



いわなくても、
なにもいわなくても、
ちゃんと通じ合うものってあるのかも……



だけど、
それは
ほんとの友達だからこそ……



「レイちゃんの背中、あったかい」



「ちょっと運動したからな」



ひかりの体、
いい匂いするな。



ほんとは
そういいたかった。



「このまま死んじゃってもいいかも」



ひかりが弱音を吐いた。



そのか細い声が
そのまま消え入りそうな気がして、

あたしはまた
怒られるのを承知の上で勇気づける。



「なにバカなこといってんだよ」



「ほんと、わたしってバカですよね」



そういうと、
ひかりが力なく笑ったようだった。



どうやら、
いまは無礼講みたい。



それでも、
こんなときでも、
いつもの気遣いは忘れていない。



「腕、怪我してますよ」