ひかりが
ゆっくり上体を起こすと

後ろから、
あたしの首元に
両手を回してきた。



勢いをつけて、
一気に
ひかりの体を背負った。



背中にひかりの体重が
ズシリとのしかかる。



負傷し疲れた体に
これは応えた。



「落ちないよう、しっかり捕まってろよ」



「うん」



階段。



せいぜい
20段程度。



どうってことない。



火事場の馬鹿力ってやつ。



一歩ずつ
確実に上がっていく。



「ごめんなさい。守るっていったのに、逆に守られてしまって……」



ひかり。



わざわざ説明せずとも
事の成り行きはわかっているようだった。



「いいんだよ。気にするな」



「でも、きっとレイちゃんが助けに来てくれる、そう思ってました」



「そっか」