だれかが救急車の手配をするのがわかった。


それはありがたい。



ただ
若い男がひかりを抱え起こそうとしてる。



それはいらない。



「あたしがやるから」



ひかりは
だれにも触らせない。



その手を払いのけると
両手で抱え上げようとした。



思いっきりやった。



何度も……。



ムリ。



細い割に
けっこう重い。


つぅか、
あたしに力がないから。



「うっ……」



そのとき、
ひかりが意識を取り戻した。



「よかった。気がついたか?」



「わたし、どうしたんですか?」



まだ
ぼっとしてるようだった。



「ひかり、なにも覚えてないのか?」



「それが階段を降りようとして転んだところまでは覚えてますけど……」



「そっか……とにかく話は後だ」



抱っこできないのなら、
負ぶることにした。