ひかりは、
あたしにとって、
いわば

聖母マリア様のような存在。



犯罪なんか
無縁も無縁、

ちょ~無縁だっての!!



けど、
そんなこと
面と向かっていえないよね……



「とにかくさぁ……わたしのために命張るなんてさあ、まったくどうかしてるよ」



「どうもしてません。わたし正常です」



「そんなことわかってるよ。ただ、無理すんなっていいたかっただけ」



まったく、
らしくないこといいやがって……



「あぁ、そうだ。とりあえずさぁ、兄貴に連絡しとかなきゃ……」




ケータイ。



デニムのポケットから取り出そうとした手を、ひかりが止めた。



「それは、まだ後でいいです」



「けっこう心配してるんじゃね」



たけるから
電話があったこと、

そのあと出くわしたことはいわなかった。



なんとなく、
そのほうがいいと思ったから。



「余計に心配させたくないんで」