ボールペン。



「ん?これがどうした?」



「このあいだ、追いかけられたじゃないですか」



「あぁ、あれはたしかにちょっとやばかったよな」



「だから、いつも持ち歩いてるんです。そしていざとなったら、これでブスッと」



ひかりはそう笑っていったけど、その目は真剣だった。



そういやぁ、
あたしも前に
それで人を刺したんだよな…



場所が悪けりゃ
死んでた……



あいつ、
今頃元気にしってかな……



「だからってさぁ……てか、もし仮にだよ、仮にそんな状況になっても、ひかりはそんなことしちゃダメなの」



「どうしてですか?」



「どうしてって犯罪だろ」



「正当防衛です」



「たとえそうだとしても、ひかりはダメなの」



「どうして?」



「どうしてって……」



どうしてもこうしてもない。



ひかりは
そんな子じゃない。