インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~

「それはスキンシップだって。オヤジさんが出稼ぎにいって、家にはふたりしかいないんだから、それで兄妹仲良くしようよってね」



「出稼ぎ?それ、いいましたっけ?」



「え?あ?いや……」



やばい…
まずい…

それは
たけるから聞いたんだった……



「お兄ちゃんから聞いたんですか?」



「じつはそうなんだ…」



「ということは、お兄ちゃんと会ってるんですか?」



ひかりが
まっすぐにあたしを見てくる



ちょっとムッとしてるように見えなくもない



べつに
隠すことじゃないけど、
なにもいわなかったのはまずかったかも…



「いや、その…会ったのは一度だけだけど…」



正確にいえば、
渋谷で偶然会ったから、
二度……



「そうだったんですか…」



ひかりが
なにか思うところでもあるのか、
つかの間考えるような顔になると、
それきりなにもいわずに
料理に専念した。