インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~

そういって
ひかりが
トートバッグをもって


部屋と台所を仕切るドア、スリガラスの向こうに消えた。



着替えると
どこか照れくさそうにして出てきた。



部屋着用の
花柄のワンピース。



部屋のなかでは大抵、スウェットの短パンにTシャツ。



そんなラフすぎるあたしの格好とは大違い……。



「でも、朝には戻ってないと、お兄ちゃんが心配するので」



「ふ~ん、でもさぁ、夜中に家を抜け出すなんて、ひかりもやるじゃん」



「はい。ありがとうございます」



「いや、べつに褒めたつもりじゃないし……あぁ、そういえばさぁ……」



そのときになって
たけるに会ったことを
ひかりにいうのを忘れてた。


そのことをふと思い出して話した。



「え?そうなんですか?おかしいですね、今日は出かけないっていってたんですけど…」



「まあ、大人なんだし、いろいろ付き合いもあるだろうしさぁ…」