どんなに弱そうな者でも
そのうちには牙を隠し持つ。



その牙を剥かれてからでは遅いのだ。



それを
だれもが身をもって知ったのだと思う。



それから
約三年の長きに渡り
あたしは地獄をさまよっていた。





死。






その間、
一度も意識しなかったわけではない。



逃げられないのなら
いっそのこと死んでしまったほうがいい。




だが
死ななかった。



いや
死ねなかったのだ




どこかに
生きたいという気持ちが残っていたからではない。



たんに
死ぬのが怖かったから。



そして
夢を捨て切れなかったから。





『ディズニーランドはとっても楽しいところなんだよ』




以前の施設にいたころ
両親に連れられて

一度だけいったことがあるという少女がよく自慢していた。



『わたし、大人になったらあそこで結婚式するの』