大きな目に浮かんだのは大粒の涙だった。
「私…可愛くなんかないんです。」
「誰かに言われたの?」
おそるおそる聞けば、睨むように俺を見上げた。
「お母さんが、」
「うん。」
「″あんたなんか可愛くないから何しても意味ないのよ″って、」
「うん。」
「だからっ…」
その後の言葉は聞かなかった。
無性に抱きしめたくなって、佐伯の背中に腕を回した。
「そんなこと言う奴は馬鹿だよ。」
佐伯は顔も、性格も凄く可愛いんだ。
これのどこが"可愛くない"の。笑っちゃう。
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