それ以来、彼女は生きることをやめてしまったようだった。
一日中何もうつさないうつろな目をして、何も言葉を発さない。
食事すらも受け付けないので、毎日栄養剤を打った。
それでも十分な食事は取っていないため、もともと細かった身体はより軽くなった。
腕など子供よりも細そうだ。
「志乃…食えよ」
「……」
「ほら、口開けろって」
「……」
「…はぁ」
スープを差し出してみても、こちらを向かない。
口元まで運んでも、だめだ。
何も発さない。
何も受け付けない。
本格的に人形のようだ。
器をテーブルに置いて、近くの黒い箱を同時に取る。
煙草の本数は、かなり増えてしまった。
柔らかい髪を撫でる。
泣き狂ってくれたほうが、よっぽどましだ。
この一週間、志乃はずっとこの調子だ。
もう限界なのかもしれない。
生きてほしいと思ったんだ。
俺は。
でも今の彼女は、生きたいなんて思っていない。
暗い暗い意識の中で、永遠に自分を責め続けるのだ。
母親や、シイナちゃんにしてしまったことを。
責めて、責めて、死にたがっている。
こんな状態で生きていても、なんの意味はなかったのかもしれない。
ただ、彼女を苦しめているだけなのかもしれない。
ならば、あの時死んでいたほうが……?
「クソッ……」
くだらない自問自答のくり返しだ。
志乃が死ぬだなんて、くだらない。
俺はなんのために助けたのだ。
あいつに、生きてほしいと思ったからだろう?



