花火大会当日
望月からのメールで
開催場所となる地下鉄の駅に
夕方五時に待ち合わせをした
朝から緊張していた俺は
数時間たった今でも緊張しっぱなし
はりきり過ぎて朝早くに目が覚めて
ずっと着ていく服を選んでた
あーでもないこーでもないと
一人でブツブツ言いながら
結局最後には、Tシャツにジーパンという
ありきたりな服装で納得した
地下鉄の出口では
たくさんの人が行き交っていて
スーパーの出店には既に行列ができている
墨田川の時もたくさんの人で賑わうけど
この花火大会もかなりの混雑が目に浮かぶようだ
「―遼太」
名前を呼ぶ声に
俺は周りをキョロキョロしながら望月を探す
「こっちだよ」
その言葉と同時に車のクラクションが鳴った
俺はその音の方向に目をやると
黒いスポーツカーに乗った望月が
運転席から顔を出し、俺に手を振って合図をしていた
「あ…」
行き交う人を上手く避けながら
ロータリーに向かう俺
もちろん顔はにやけたままで