「尚輝さん…ずるいですよ。俺の事、嫌いになったなら…嫌いって…ハッキリ言えばいいのに―っ!」


最後まで別れたい理由も話さなくて

最後まで嫌いだと言わなかった



もしかしてそれは

望月の優しさだったのかもしれない



でもそれが逆に俺を苦しめたんだ





冷たくされれば

もっと簡単に諦められたかもしれないのに―




「俺…っどうすればいいか…わからっないです…!」

俺はとうとうその場で泣いてしまった




駅のホームで男泣きなんて
カッコ悪いけど





望月の優しさが後になってから感じてきて

多分あっちも辛かったのかなって思ったら



涙が止まらなかった





「遼太」


山田が俺の頭を力強く撫でる


俺は俯いたまま地面に涙を落とした






今までは望月を好きになった事を後悔したり


ゲイになった現実に
嫌気をさしたりした事もある




でも


好きになってしまったのは
仕方のない事で



普通に男女が恋に落ちるように

俺と望月も普通に恋をしていたんだ