ここにどんな数字が刻まれるのか…借金など背負わされたりはしないのか…、考えれば考えるほど不安はつのった…。


「…前までは何か仕事でもしていたのかい…?」
二葉が気を取り直して話す。
「…近くのコンビニで働いてました。」
今日が前の仕事の最後の給料日だった。今思えばその仕事に満足すべきだった…。家に帰れないというのはこんなにまで不安にさせるものなんだなと実感する…、…だがもう遅い…。

「…そっか…。君はまだ学生だからただお金が欲しいというだけでここに入ったんだろ…?」
「…はい…、正直言うとそういうことになります…。」
「…俺も同じだ…。」
「…えっ…?」
「…金が欲しくてねぇ…。…でも今になると別に大したことないんだよ…。単純に働いていればお金は貯まっていくし、一週間後には一日中遊んでこれるし…。……まぁあまり使い道ないけどね…。」
「…はぁ…」
「…俺だけじゃない他の従業員もそんな感じさ。…でも人によっては借金まみれになってここに連れてこらされたっていうのもあるらしいんだ……。」
「…そうなんですか…。」

仕事の内容がまだ理解していないため二葉が悲しい話し方をする理由が分からなかった。…ただ普通に働いていれば儲かって、一週間後には抜け出せるはずだ…。

その後も二葉の表情を何度も見つめていた…。