いつものように生臭いトンネルを進む…。

コツコツと自分の足が響くのに何度も怖さを感じる。これだけは慣れなかった…。



急激にその臭さが最高潮に達した場所で鼻を抑えながら ふと優は立ち止まった…。


あれ……?こんな場所に扉なんてあったっけ……?

壁と同色なのであまり目立たないが以前来たときには見当たらなかったはずの扉がそこにはあった。

「……ゴホッ…ゴホッ…!」
そのにおいに耐えられなくなり、急いでその場を離れた…。

前にも入った従業員用の部屋の前に立ちノックをする。

「……はぁぃ!永井ちゃん入りなさーい…!」
「…失礼します。」

扉を開けるとすぐにオーナーが目に入った。腕を組んで棚に並んだお酒をじっくり見ている。

「…早かったわねぇ!」
「……あっ…はい、ちょっと仕事の内容をよく覚えておきたいので………まずかったですか…?」
「…いいえ!!そんなことないわ…!素晴らしいことよ!」
首を振ったオーナーの頬がぶるんと揺れた。

「…じゃあとりあえず服を着ましょうかね!…そこの扉を開けて更衣室に入りなさい…。」
「…はい…。」
ゆっくりと扉を開ける…。