『……俺が皆さんにこのことをお話ししたのは、皆さんと一緒に逃げたいからです…。もちろん全員で助かりたい気持ちはあります…………でも正直……俺は一人だけで脱出できる自信がありません…だから……』
『……俺たちを踏み台にしようってことかよ!』

『…違います!違います………ただ…全員で脱出すれば………誰かは逃げ出せるんじゃないのかなぁ…って……思ったんです…』


その発言に従業員の気持ちが揺らぎ始める…


『……確かによぉ…俺たち……このままじゃ…ただ死ぬのを待っているだけじゃねぇか…?』

『……あぁ……脱出しようとしても…いい方法が浮かばねぇしな…』
『…脱出の希望がないよりは……』
『………でも……もし……もし………』
『…おい…!こいつのことを信用できねぇ奴は手を挙げろ!』
永井を指差す体格の良い従業員田端が、大きな声で場をまとめた。









沈黙が続く中、誰も手は挙げない。



『……いないんだな…!』






そして従業員全員が次々と頷く…