「…それよりテストどうだったの?…お兄ちゃんまた追試?」
妹が笑いながらちょっと意地悪な目をして言ってきた。
「…おいっ!余計なこと…」
「…後でちゃんと見せなさいよ…」
母親がうっすらと話した声は少し不気味だった。
「…はぁぃ…」







きっとこの保険にも名前なんか書いてくれないだろうな…

部屋に戻りなりオーナーに渡された紙を見つめた。
そもそも親たちは『親の承諾』というのが嫌いだった。
一度携帯を購入した際の親の承諾後の月に携帯代が3万の請求がきた。パケット放題なら『月額』のものとか『ウリキリ』のものでも し放題だという浅はかな考えがきっかけだった。それ以降俺の契約で親が何かを承諾するととんでもないことが起こると決められてしまい、ゲームなどを売る際に必要となる承諾さえもサインしてもらえなかった。
そのためここ数年は自分で書体を変えて父親の名前を書いている。意外とそれは通るものだった。


きっと今回も……


オーナーに渡された紙に自分で父の名前と印鑑を押した。
父の書体は何度も書く内にどんどん似てきた。今回もバレないと確信できた。



明日バイト帰りにポストに入れていくか。


今日は早めに眠った……。