そして第1部の時間になり、出勤する者が寝室から退出していく…
いつの間にか帰ってきていた大島も寝室を出て行った。
右手に大きなボストンバッグを持っている…
すべての荷物を持って脱出するようだが……変に怪しまれないだろうか……
そして永井は思う……
大島のこんな姿を見るのもここでは最後か…
でも…大島ならきっとやってくれるはず…!
心なしか大島の後ろ姿は勇ましく思えた。
今日永井の出勤は第4部の一時間のみ。
大島のシフトは第4部までの四時間のため 永井が出勤したときに大島の姿がなければ、大島は『クビ』になったということになる…
じっとしていられず辺りをうろちょろしていた。
そして第1部、第2部と終えた従業員が血まみれになって帰ってくる。
「……あの…」
「…ん?なんだ?」
たしかこの従業員は松本だっただろうか…
永井が入った頃からちょくちょく見る従業員だ。
「……大島っていう人は『クビ』になってましたか…?」
「…あぁ…君とよく一緒にいる男の子でしょ?……『クビ』が決まった人にそんな名前はなかったはずだよ。」
ホッとした。


