「…そのようですね…。だから俺が初めて電話した時は留守電だったんですね?」
「そうよ!留守電にふきこむあなたの声はリアルタイムで聞いてたわ!……ということだからあなたも変にこのこと口外しないようにね!」
「はい、分かりました!」

意外にもこの人は頭がいいのかもしれない…。何千万も簡単に用意できるのもきっとその頭脳によるのだろう…。やはり裏社会にも詳しそうだ。

「…あと一つだけ伺いたいのですが…」
「…はいはい、何ですか?」
「…この上にある家はここの関係者なんでしょうか…?」

「私の家です!」
即答だった。
そりゃそうだろうと思った。
「私の妻と娘たちが住んでるわ!」
「…えっ!?奥さんがいらっしゃるんですか!?」
思わず声をあげてしまった。
「失礼だわねぇー!私は実際ゲイじゃないのよ!!」
「…あっ、すいませんでした…。」
自分が言ったことが失礼だったと言われて気付いた…。
「…でも誰にもこの仕事のこと教えてないの。」
「……え?」
「家族にはねぇ、パチンコ行ってるって言ってあるのよ。それで夜は麻雀を地下でやってるとも言っといてるの!だからまだここのこと知らないわ!まぁなかなか会わないと思うけど…もしそれっぽい人に話しかけられたらうまくごまかしといてね!!」
「…はい…。」