ゆっくりと目を開く…



目に徐々に光が差し込む。





そして…

永井が見たものは…





「…ハァ…ハァ…」
通路だった。

ホテルのような通路である。


目の前は壁で、道は右に続いているため永井は壁づたいに覗かないと様子が伺えない。


音を立てずに部屋に入る…。

話し声が徐々に耳に入ってきた。


ざわざわと大人数の声がする。

体は完全に部屋に入ったが、その先を覗く勇気がない…


「………いやーやっと今日も終わったな~」
「…お前早よ着替えな。」
「…あぁ。この金しまったら着替えるよ。」

初めて聞く兵士たちの声…

全員男の声だ。
太い声…か細い声…暗い声…高めの声…笑い声…

永井は一人一人の声を聞き取った。


やはり兵士たちは部屋が動く音には気づいていない。
ゆっくりとドアを閉める。


…チャッ。

一瞬ドキッとしたが兵士たちの声でドアが閉まる音はかき消された。


ドアに耳を当てると部屋が動く音が僅かに聞こえる…。


音が聞こえなくなったかと思うと兵士たちの笑い声が耳に入るようになった。