再び戦場へ入ってきた。
昨日で9時間働き終わった。
半分終わったことになる。
残り半分か……
今日は大島がいない。
いつもは大島がいたからこそ楽にできていた…
いつの間にか大島に頼っている自分がいる。
この後だって大島は例の兵士のことを詮索しようとしている…。
自分は常に傍観者……やはりついて行くべきだろうか…
とにかく…!
いつも通りにやればいいんだ……いつも通りに……!!
徐々に客が入ってきていくつかの席を埋めた。
常連は同じ席に、初めて来る客はキョロキョロしながら後ろの方の席に座る。
オーナーが最後に部屋に入ると一人の小柄な男を一緒に連れてきた。
恐らく自分と同じぐらい、もしくは年下だろう。
小型犬のように小刻みにブルブルと震えている。
あの子も同じように この初めての空間に恐怖を感じたのだろう…。
「…今日から新しく従業員として働いてもらう小向 翔(こむかい しょう)くんだ!是非とも温かく見守ってもらいたい!!」
大きな拍手に圧倒されながらペコリとお辞儀をする。
3日前に同じようにやってきた自分と影を合わせた。
すぐにでも逃げ出したい…そんな気持ちでいっぱいだろう…。
「では…ここで初めて参加する者のためにここでのシステムをご説明しよう……」
仕事の内容を聞かされぬまま この部屋に入ると、たいていの人間は混乱に陥り 地獄へ堕ちる。
それがまだ自分の身に何も起こっていないとしても 何もかもが無力へと変わっていく…
彼はそんな時間を今過ごしているに違いない…
そしてこの場から抜け出す方法を考える…
わずかな希望があると そこへ這い上がろうとする…
だがその希望という名の光は 人工的な光…
その光が射す方へ近づく…しかしそれがオーナーが用意した光だと知ると 結局闇の中で彷徨っていた自分に気づく…。フェイクでもあり…トラップでもある……
そしてその人工的な光を探しているうちに息絶える…