夜食ともいえる食事を摂り、部屋に戻る。
むしろ食堂でも灘と横田が対立していて食事をゆっくりとれる状況ではなかった。





自分のベッドの1段目はいつもの光景とは違う。


その男の姿は、大島と夕飯を食べた帰りに 部屋で、同じく夕食を終えたところで 再度布団にくるまるところだった その1回しか見たことがなかった。




でも今日は違う…
あの小柄な男は 今日…どころか今日から見かけなくなる。



永井はそのベッドに手を合わせ、1段目のベッドをたたむ。
懐中電灯…ボールペン…財布と通帳…
そして少年漫画がベッドの周りに数多く散らばってもいる。
すべての漫画を積み重ねて、とりあえず部屋の隅に置いておこうと思った。


延べ30冊だろうか…分厚い単行本を一気に持っていこうとしたがために…

「うわっ!!!!」
持ち上げた瞬間、上側の5~6冊が左に大きく滑りはじめ バランスを保とうと体を左にもっていったが、残りの本が今度は右に流れて行った。


部屋の中のざわめきがしばらく止まる。
起こしてしまった人もいた。
背中で視線を感じながらも2回に分けて運ぶことにした。


…?


残りの本を運ぼうとした時、明らかに本の間からはみ出している何かが視界に入った。


「…封筒?」


単行本の14巻の表紙カバーとページの間から それをスッと取り出す。


やはり封筒である。

開けるかどうか迷ったが、自分のベッドにくるまって その封筒を開けた。