「………………えっ?」
誰もが耳を疑った…

「……今…なんて……」
「………同票で……藤本だ!!……つまり2人とも…………『クビ』だ…!!」

「……………うそ……!」
「……フフフッ…!そんな甘い話ないじゃない…!……そんな簡単に結果を変えたら信用失っちゃうもの…!ハハハッ…!!」
オーナーは支配者のように甲高く笑った。


目の前が真っ白になる…。
まだ死んでもいないのに走馬灯が見えた…

子供の頃…祖父母のもとへ行った思い出……家族で撮った写真……初恋の女の子……………そして金田と………

…………金田…!

『……ははは…!…あっちで待ってるぜ…!』
この施設に入る前に金田から最後に聞いた言葉……
まさか……金田はこうなることを知って…………

『あっち』って『あの世』のことだった…のか…………?

今思えば上手い具合に借金が残った…
あいつは死んでその責任は俺のもとに……
一時間だけ働いてこんなとこを抜け出せるなんて普通なら許されない…!なのにオーナーは快く許してくれた…………知ってたんだ……………俺が死ぬということを………俺が………『クビ』になるということを……!つまり………一時間だけ働いて生き延びるということは、借金を抱えているほとんどの客を全員敵に回すことになったんだ………あんな大々的に言っちまった………一時間働けばここを抜けられると…!…………生還できると…………!!

金田に…………全部計算されてたんだ………すべてはあいつの手の上で転がらされていただけ…………
あいつが一番………悪魔だったんだ…!!