￥時給1000万円

サンバの音も今になっては耳障りの音とはならず…頭の中で何度も何度も余韻が残って繰り返されていた…。


「……では投票用紙を回収しまぁーす！」
一人の兵士が投票用紙を箱で回収する。

特に不自然な所など見当たらない。

永井は『人を見るように』心掛けているのだが…いつもとあまり変わらない光景だった…

血のにおいも首が落とされる時以外は気にならない。


でもこの場に慣れることは御免だ…




誰が『クビ』になるかの賭けも終わったようだ…

先ほど苅谷の指摘があったためほとんどの客が誰に賭けたかを公開しなくなった。

ただ…目線からして６番テーブルの男は、やはり挑戦的な言葉をかけた苅谷に賭けたようだ。

一方で店に借金をしているあの男性客は、今日も第１部から、借りた金で賭け続けていた…
本当にあの男は大丈夫なのだろうか…

「……では！投票結果を発表する…！！」

再び悪夢のような一時が始まる…