¥時給1000万円

男の料理は二葉によって提供されようとしていた。


苅谷は男に注文を受けて以降は一人だけオーダーをとった。
初めてにしてはだいぶ慣れている感じだった。


………大丈夫だ…!これで借金から抜け出せる…!


「…おい!この料理間違ってんじゃねぇのか…!?」
「…………?」

6番テーブルの男が突然声をあげた。

「……お客様…どうかなされましたか…?」
偶然近くにいた二葉が男に声をかけた。

「…あの…新しい ヘボ従業員が俺の注文間違えやがったんだよ…!!」
自分だと気づいた苅谷が即座に寄ってくる。
「…さようでございますか………苅谷くん…」
「…は…?……てめぇさっき『骨付き肉』つったよな…!?」
「…苅谷くん…お客様に対して……」
「…るせぇ!!俺は確実にそう聞いたんだよ!」
「…いや…俺は『胸肉』を頼んだんだが、彼が注文をいい加減に聞いてたもんだから…」
「…違う……!……違う!誤解だ…!!」
「……お客様…『胸肉』でよろしいですね?」
「…あぁそうだ…!」