￥時給1000万円

「……灘…！」

「……おい灘〜！珍しくお前の名前が呼ばれたなぁ〜…！…ハハハッ…！」
昨日の夜彼と殴り合いをした櫻井という男が灘を冷やかした。
あの金髪の男は灘という名前だったのか…

櫻井は永井の隣で繋がれ、さらにその２つ奥で繋がれている灘の方を眺めている。
櫻井の言葉に他の従業員も合わせて笑い出す。

こいつらまだ仲が悪かったのか…
「…んだと！？…てめぇ後で覚えてろよ…！！」
最初は灘とは上手くやっていけるはずないなと思っていたが昨日のことがあって以来、自分が灘から冷やかされていた状況と全く同じ姿を重ねていた自分がいた。


オーナーは二人の言い合いがおさまったのを見計らっては開票を続けた。

「……浅川…！………櫻井…！」
「…まぁ、当たりまえっしょ！」
余裕の表情を浮かべる櫻井を永井は知らず知らずのうちに横目で見てしまっていた。

「…あん？…なんか用か！？」
「……あっ…いや…何でも…」
すかさず前を向く。


……はぁ〜…情けねぇなぁ……


こんなとこでペコペコしている自分が嫌になった。