「……あっ……はい………」

二葉が壁にもたれかかって言った。
左手に白い紙のようなものを持っているのが見えた。
「……それを持ち帰るにはどうしなくちゃいけないんだった…?」
「………確か…一週間後に辞めるために…………あっ!…辞表っ!!」
「…まぁ私みたいにこの仕事を続けたいなら出さなくてもいいけどね。」
「…あ……いや…それはちょっと……」
「……ハハハ!冗談だよ冗談!きっと忘れていると思って言っただけさ…。……はい!」
そういうと左手に持っていた『辞表』と書かれた封筒、白い紙とペンを渡された。
「…いつ、どんな理由で辞めるのか書いてオーナーに直接渡せばきっちり辞めさせてくれるさ…。…あっ…ちなみに今日の仕事に入る前に出さないと日付が変わって来週の土曜日に辞められなくなるから今からでも書いておきな。」
「……あ…ありがとうございます!」
二葉がいつも救世主に思えた…
どん底に落ちた俺を光輝く手で助けてくれる気がした…。


ふと疑問がよぎった…

なぜ………二葉さんはこの仕事を続けているのだろうか……
それは高収入だし蓄えもかなりできるが…そのリスクをものともしていないような気がする……

そしてあの数々の言葉を思い出す……
『……よほどのことがこの店に無ければ大丈夫だ!』
『……知ってるか…?……この賭けに勝つ方法…!』
『…俺…知ってんだ…。……『クビ』になる法則をな………』

まさか この人も……!