──────「歩椎、ずるいよ、こんな話……。」





医者になるために東京まで出たことも、




そんなにつらいことがあったことも、






私は何にも知らなかった。





一気に話さないでよ、馬鹿。




頭パンクしちゃうよ…。





「ごめん…」




「なんで? 私、歩椎の彼女なんじゃないの?



なんでもっと色々話してくれないの? 溜め込むの?



歩椎のやったこと、間違ってる。




確かに寂しかったよ。



歩椎がいなくなって、何か生活が物足りなくて、今すぐ会いたいって思った。



でもそんなことより、私、悔しいよ。歩椎に何にもしてあげれなくて。



つらいときに声すらかけてあげられなくて。」