歩椎は黙ったままだ。





………図星じゃん。







「話しかけなければ良かった」






私はそう言って来た道をかえした。






少し歩いたところで、後ろから腕をつかまれた。





「……なに」






誰かは分かっていたから、振り返らずに声だけ返した。







「………そんなんじゃねぇよ…」





「…言い訳とかいらない」





冷たく言っても私の腕は握られたまま。





「俺がお前のことそんな風に思ってるとでも思ってんの?」






だって他にないじゃない。




私は歩椎にとって特別な存在でもない。





今はめっきり話さないし、勝手に別れた面倒くさい元カノ。






「………お前、俺の初恋の相手」





「……は?」






だから、何?





てゆうか今、何?







「そんで今んとこお前以降好きな奴できてねぇ」







「……だから?」






「要するにお前は、俺が恋した唯一の女だ」







……いきなり何なのよ。







しかも曖昧な過去形っ。