キミがスキ

────別れた日。






俺があまりにも大きな音で明日華の部屋の扉を閉めたから、明日華の母親も状況を理解したのか。





いきなり話しかけられた。









「……明日華は本心を言わない子なの」









「…はぁ」






俺はいらついていたから軽く受け流して靴をはいた。









「明日華から……聞いてるの?」




しかしその声はあまりにも真剣に聞くもんだから俺は返答をした。





「何をですか」





「……体のこと」







「今回は貧血だとは聞きました」





「…そう」




振り替えると、明日華の母親は複雑な顔をしていた。







「もしかして貧血じゃないんですか?」








なんとなくだった。








返す言葉が分からなくて、何も考えず軽く聞いた。







なのに。








明日華の母親の顔が、その言葉に一瞬だが確かに動揺した。










「え……いや、貧血よっ……?」








「………………」