「何が?」
「空」
「・・・あ、忘れてた。でも、今度一緒に見ようよ。まだ病室には出られないけど、すぐに良くなって」
「無理だよ」
「・・・え?」
純也はいきなり険しい顔になって、悲しい声で言った。
「ガンが、骨にまで転移して。もう、施しようがないんだ。だから、屋上へはもう行けない・・・」
「・・・そんな」
「でも、俺は。屋上に行けなくてもいい。ここからでも空は見えるんだし。茜だっているし・・・」
「・・・私は純也のために何ができる・・・?」
「え?」
なんだろう・・・。
この儚い気持ちは・・・。
涙が出てきて、私は純也に飛び込んだ。
「不器用だし、病気を治すこともできない。あたし、純也に笑ってほしいよ・・・」
「・・・茜」
純也が私の涙を拭いて言った。
「何もしなくていい。俺の前で笑ってくれれば、それでいい。あんま難しいこと考えるなよ」

