愛と云う鎖




マリー達を乗せた馬車は城下町を抜け、村、また村と過ぎて行く。


ー隣の国に行く様に魔界に向かうのね…ー


マリーは、魔族は魔力などを使って移動するものだと考えていたので、その意外性に驚きつつ過ぎて行く風景に目を向けていた。


彼女のその表情には諦めと家族と離れた悲しさ、急に女王になれと言われた苦悶の心情が浮かんでいた。


ーそういえばこの殿方は誰なのかしら?ー

マリーは隣で窓に頭を預け、目を閉じている青年を見た。


その顔は、国一番の美貌と賛美されたマリーも息を呑む程の美しさ。

もちろん、国一番と賞賛されている事など彼女は知らないが…。


ー改めて見るとなんて綺麗なお顔…。このお顔にあの冷えきった瞳は不釣り合いだわ。なんて悲しい人…ー

マリーはヨーゼフを吹き飛ばした時の青年の顔を思い出し、青年の寝顔をきつく睨んだ。


「…用件があるならさっさと言え。この状況で睨みつけるなど、なんとも強気なお姫様だな」


青年は閉じていた瞼を開きニヤリと微笑んだ。