魔王に捧げる物語




「運なんていらない、希望なんて持ちたくないわ………」



そう、希望なんていらない。帰ってくるわけではないのだから………。


うつむくミラにカインは笑みを深める。


「本当に?

彼がどういう男かわかる?」


何が言いたいの………?


顔を上げ、怪訝な表情で見つめるとクスクスと笑い声が漏れた。




「彼はとても独占欲が強いからね。

刺激したらどうなるかと思って」



「ニルはいないよ……」



ポツリと、漏れてしまった。


彼は消えてしまった。

同じ光はあるのに、そのものはない………。




「これは賭けの一つ、提案に乗るか退けるかは君次第」




勝算は低いけどね?



悪戯に光る瞳が自分を見る。


「違う世界を見ておいで?
気分転換になるし、あっちは“雷皇”を探してる」



は…………?



思わず口が空いた。



真意がまったくわからない。