魔王に捧げる物語










「やぁ?

………元気じゃなそうだね」




大きな窓からふわりと現れたカインの顔は少し曇る。

泣いていたミラは慌てて涙を拭い、彼を見た。



「いらっしゃい……」



「うん、大丈夫?

窶れた顔だ……」



彼は自身の指で目の下をさす。

確かに、あまり眠っていなかった……。



眠らなくてもよかった、深く眠ってしまったらきっと彼の夢を見てしまう。



それに比べれば辛くない……。



「平気だよ」



ミラは落ち着いた声で告げた。

彼に泣いても仕方ないから、迷惑をかけてしまうから。


そう思いながら見つめたカインは、相変わらず感情のこもらない笑みだった。




「君にチャンスをあげようと思って来たんだ。

どうなるかは運次第だけどね??」



意味深な言葉だ。


こんな状態でさえ、彼の感心を引けない。

興味をもってほしいわけではないが、少し言葉を選んでくれたらいいのに………。


と内心思った。