魔王に捧げる物語





無くしてしまったものはたくさんある。

でも……、思い出がわたしを生かしてくれた。



この出会いはきっと運命だった………。



赤い糸で繋がって、ちゃんとわたしに届いていた。




覗いた空は水色で、高い雲がのんびりと流れる。

暖かい風が体を優しく撫で、長い髪を靡かせ、


部屋に流れた極彩色の風を両手で包んだ。




世界を包む魔力は今もそれを潤し、清浄なるものとしている。


キラキラと輝く粒子の中に、金緑の光を見つけたミラは、渇れたと思った涙が溢れてくるのがわかった。






彼の証が、そこにあったから………。






姿がなくても………彼は、

会いに来てくれた……。










ありがとう、ニル。





消えてしまいそうな弱い光を震える手で包み、大声で泣いた。


今が一番悲しいのかもしれない。

胸が痛いのだ………。


胸だけでなく、全てが。



狂いそうなほどに痛む。



言葉に出来ない感情が嵐のように襲った。