無表情ながらも、穏やかな口調は彼の本質を見せる。
魔王でありながら、人に近く………海のように広い器。
惹き付けられる……。
そう感じた。
「何もせずに嘆く人間や、呪いを呟く者は嫌いだが、
努力を惜しまない者は助けるよ。
この身が滅ぼうとも」
「ミラ様は………?」
彼女の名を出した瞬間、瞳が閉じグッと切なげな表情になった。
「ミラ………か。
そうだね、とても愛しているよ。
世界よりも、何よりも……」
「世界よりも……?」
それほどまでとは流石に想像しなかった。
そもそも魔王が世界以上に執着するなんて考えもしない。
魔王は謎多い存在だが、今の表情はまるで人間。
それにしか見えない。
「そう、例え世界が滅びても俺はミラをとるよ。
だけど、彼女が見たい世界なら守る。
俺が出来る事は全てしてあげたいんだ」
苦しくなるほどに深い、
切なくなるほど重い、
恋に憧れた若い自分がどれほど青いかを思い知らされる。

