魔王に捧げる物語





真っ白な世界に真っ黒の羽が散る。


骨の見えかかった翼。

周囲に積もる羽。


傷だらけの躯。



見るからにぼろぼろになったニルは、ズタズタに引き裂いた異形を静かに見下ろす。



流石に無理をしたかもしれない………。



鋭い爪や、鱗にも似た固い羽さえ抜け汚い肌が露出する。


人の原型を留めない怪鳥のような姿………。


雷さえも纏わない………毛玉といってもいいかもしれない。



別によかった。



イオはきっともう……たどり着く頃合いだから。



意識を少しずつ本性に近付け、ゆっくりと人の姿に戻す。




それから中枢部に向かいゆっくりと歩き出した。



魔力が自分から少しずつ離れるのがわかる………。



もとより余程の事でない限り、焦りや不安は感じないが、ひどく穏やかな心境だった………。