嵐のように着付けられて、髪や化粧、爪が彩られた。

見たこともない豪奢な宝石の付いたネックレスは透き通った金緑が輝いて、縁を彩る金と合わさってより味わい出す。


両耳を飾るものも同じ金緑で、首に届く細かな金の鎖の先が動く度にサラリと肩を撫でた。


きっちりと巻かれた髪が螺旋を描いて流れ落ち、香油を注したおかげでよみがえったように艶めく。


漆黒のドレスは所々金糸の刺繍が施され、マーメイドタイプの為か細い身体を更に華奢に魅せた。


最後に、壊れ物を扱うように履かされた靴も高いヒールで、飾るためのものではないかと疑うほどのもの。


「こちらへ」


と、イシュに手を引かれ歩いた先にあった鏡に映っていたのは、


「………っ!!」


自分とは思えない姿。
想像さえしたことのないもので、何度も瞬き、目を見開くと鏡の中も同じ顔をしている。


彼は嬉しそうに何度も頷きながら、


「お美しゅうございます」

と、どこか満足そうだった。