魔王に捧げる物語




ニルは殊更に優しい口調で言う、



「愛する人の前だからこそ………目を覆うような光景を見せたくない」



「違うっ!」



「ミラ、わかって」



その言葉に何かがブツリとキレた。

思い切り襟を掴み、無理やりに視線を合わせて瞳を覗く。



「どこまでも…………何だって見るよ!

堕ちろと言うなら、どこまでも堕ちるわ。

だから、一人にしないで………」


「ミラ………」



「ニルがいないなんてダメ、ひとりじゃ何もできないよ…………。

あなたが、わたしの全てな…!」




まだ途中なのに、噛みつくようなキスをされた。

離れようにも、ザラリと口内を舌が撫で力が入らなくなる。


きっと、これまでしたキスで一番激しいだろう……。
ついていく事もままならずに体温だけが上がる。


苦しくなって抵抗を強めた時に初めて唇が離れた。