「その書状に記されているのは、本日姫君を迎えに伺う。と、迎えに上がるわたくしどもの件にございます………」


ミラが黙っていると、彼は更に続ける。


「あの方の印をお持ちの方こそが、姫君でございます」


彼の視線がスッと彼女の胸元に下がり、再び一礼した。


服に隠れているはずなのに、それに……。


……あの方の印?



彼はきっと、


全てを知っている。



彼女の疑問が一つだけ確信に変わった。



「あぁっ、こうしてはいられませんっ!!」


彼が突然声を上げたせいで、思わずビクリと肩を跳ねさせてしまった。