魔王に捧げる物語




「彼は本性が人間だから化け物には見えないけど、

魔王という事実は変わらないだろ?」


「………どうして、そんな事言うの?」

「かつての彼とかつての私は、死と腐る世界を僅かだが共にいたからね」



カインはどんな内容でも笑顔で話す。

それが信じられなかった。普通は辛い事や悲しい事は、思い出すのも躊躇うはず。

その素振りさえない。



「ニルはその人じゃない、別人だって言ってたよ」


「知ってるんだ?

なら尚更さ、彼は君が思うよりずっと不幸な魔王でね。

君を見つけるまで誰一人、いや、世界さえ愛してなかったんだ……」


「………そんな」


「事実さ、むしろ世界ごと自身も滅びよう。

そう考えてたんじゃないかな?」



そこまではわからなかった。