魔王に捧げる物語






そう言って彼女は部屋を出て行った。


きっといろいろ考える時間をくれたのだと思う。

でも、後に引けるかと言われたら…………、


出来ない。



あの優しい手を失いたくない。
暖かい気持ちを無くしたくない。

彼を………譲れない。



例え、世界を影から支配する魔王だとしても……。













「お嬢さん、ニルが好き?」



!!!!!?



さっきまでエリーが座っていた椅子に、
前触れもなくカインが現れ、ミラはひっくり返りそうなほど驚いた。


「……………カ、イン」


「やぁ!新鮮な反応で嬉しいよ。

妻は驚かないからつまらないんだ」


「妻って、エリーの事?」


「そう、最高の妻さ!
まあ、それはいいや。

ニルは好き?」



本気なのか冗談なのかもわからないくらいの軽い問いに思わず口をつぐむ。