魔王に捧げる物語



そんな事を考えていると、突然、はらはらと蝶々が近づいて来た。

一羽二羽ではない………かなりの数だ。

キラキラと光を溢しながらそれらが騒ぐ、


『魔王様、魔王様』

『お二人もいらっしゃる』
『なんてきらきらしい……』
『もてなさなくては!』
『騒いでは無礼だ』



口々に言うため、あまりの騒がしさに耳を塞ぐと。

「退け」

と、ニルが小さな雷を落とす。
思わず見つめると、大きな手が耳に重ねられた。


「………今の?」

「眷族達。騒がしいから帰した」


なんでもないように言われたが、ミラはあんなに綺麗な蝶々は見たことがなくて、少し騒がしくても興味があった………。


あんな言い方しなくても、と思う。


「………かわいそう」


「あの数ならまだマシだけど、騒がしいのは好まない。

彼らを傷つけないためでもあるしね」



「傷つけるの?」


「魔王の魔力に近づき過ぎたら、彼らは耐えきれずに消えてしまう。


それに今のミラもキツくなるからね」