魔王に捧げる物語






白い魔王はその後もいろいろと変わった事を喋り、カインと呼んでくれ、と軽く言ってくれた。


ニルにしがみつきながら進むと、白亜の城が見えて来る。

山頂部にぽつんと寂しげだが、物語から飛び出してきたかのようなメルヘンさがあった。


色とりどりの薔薇が咲き誇り、アーチを描き、短い草も小さな花を咲かせ可憐な姿を晒している。

何かの原石が混じったような大きな石が並び、ほんのりと紫色の光を放っていて。

城へ続く道の真ん中には水が流れ、見たこともない魚が踊るように泳いでいた。




ニルと暮らす城はこんなに豊かな色彩ではなかった。
静寂といったイメージを受けるだろう、荘厳で美麗ではあるが生き生きとした生命は感じない。


廃墟とまではいかないが、活動は感じないだろう………。