魔王に捧げる物語



彼が、空中をまるで道があるかのように歩きだすと。
爪先から虹が架かった。


雨の後にしか見られないと思っていたそれが、何事もなく現れてミラは空いた口が塞がらない。



「大丈夫、歩いても落ちないよ?」


カインが笑顔で告げ、ニルを伺うとゆっくりと降ろされた。


透ける足元に思わず竦み上がる。

すると彼はクスクスと笑いミラに手を伸ばした。


「怖くて歩けないなら抱いてあげようか?」


「お前には頼まないね、おいでミラ。

俺が手を引いてあげる」



あ、も、う、も言う前にニルがミラの腕を掴む。


馴れない靴でよろけて、反射的にしがみつくと頼もしい腕がミラを支えた。


「熱烈じゃないか!?

私も負けてられないよ」



何が?


と思わずにはいられなかった。