魔王に捧げる物語










「冗談はツラだけにしてくれない?」



ニルの冷たい声が響く。


『………………』



「ミラをあまり驚かせるな

カイン」




カイン………?


思っていた衝撃を感じないのと、冷めた声で恐る恐る目を開くと、ニルは片手で異形の鼻先を止めていた。

指先には僅かに雷が走り、パチパチと小さな音を立てる。




『………サプライズだよ、こんなに驚いてくれるなんて化け物冥利に尽きるね?』


「頼んでない」



『悪かったよ、』



羽の隙間から覗くそれは穏やかに言い、次の瞬間。



光る鱗が花弁のように剥がれ、幻想的な景色の中からの姿が現れる。

その姿はカルナバルで見た白い魔王で、彼は以前と同じく楽しげにミラに微笑んだ。


「こんなところにようこそお嬢さん。

楽しませてあげられるかわからないけど、うちに来なさい?

話し相手が首を長くしてお待ちかねさ」


「………おじゃまします」

「ああ、ゆっくりしていきなさい。

せっかくだから空に道を作ってあげよう………
女の子はやっぱり虹の橋がいい?」



相変わらずよくわからない人だ。