「…ずっといるよ」 ビクッ 低くもなく高くもない声が部屋に響いた。 「だ…誰!?」 「誰、か。この屋敷の主人とでも言っておこうかな」 そう言って、大きなカーテンの向こう側から声の主はでてきた。 主人…? その人は肖像画と同じ顔だった。 で、でも! 「どうして?この部屋は…」 何百年間も開かなかったと、お父様に聞いたのに。 主人と名乗った人物は、たぶんこの部屋のものであろう古びた大きな鍵を左手でくるくると回して弄んでいた。