―――――…… 扉の向こう側。 人の気配を感じた。 あぁ、今年も来たんだね。 彼女が。 それは毎年のことなのに、僕は彼女を部屋に入れたことはなかった。 だけど、今年の僕はどうしたんだろう? 知りたい、と思った。 会ってみたい、と思った。 毎年、何とかしてこの部屋に入ろうと微力ながら努力をしている、名前も知らない彼女に。 何百年間開くことのなかったこの部屋に。 「君を招待してあげようか」