愛美は娘として見られなかった。

ただ一人の女として見られ

襲われるようになった。

抵抗すればするだけ痛みがあり

何より母親にばれる事が

怖いと感じた。


12歳になった愛美が知った言葉

それは性教育で習った言葉だった。

『セックス』

頭がおかしくなるほど

愛美は考えた。

自分は父親とセックスをしたのか、と。

好きな人との子供が出来る行為

それを父親にされたのか、と。

重大な事実を知った愛美は

放課後、公園で泣いた。

犯されたことが

今になって悔しいと感じたのだ。

何も知らない事が

自分を傷付ける事に繋がるならば

頭が良くなれば

大丈夫だ、そう考えた愛美は

自力で勉強をした。

誰よりも頭を良くするために……

自分が二度と、傷付かないために

毎晩遅くまで勉強した。