ごめんねー。と言いながら慎司君にヒラヒラと手を振ってるのは千紗先生だった。
ホッとしたのと同時に、スタジオ内も賑やかさを取り戻していた。
「仕方ないね。じゃ、また今度帰ろうね!」
やたらニコニコとして、そう言った慎司君に微笑むので精一杯だった。
ここで「うん」なんて返事してしまったら・・・・
考えただけでゾッとしてしまう。
突っ立ている私の手を引いて、千紗先生はスタジオの外に出た。
「ごめん。お節介だった??」
「いや、むしろ助かりました。ありがとうございます。」
深くお辞儀をした横を、慎司君が爽やかに手を振りながら、帰って行った。
千紗先生は、私が長澤君のことが好きだって知ってるのかな。
でも、もし知らなかった時のことを考えて、聞いてみるのはやめた。
顔をあげると、今日も踊ろう!とにっこり微笑まれたけど、、、
何か気まずい。
正直、長澤君と目を合わせられる気がしなくて。
先生と千紗さんに頭を下げて、少し小走りでスタジオを後にした。

